労災
当社の社員が2泊3日の出張に行くことになりました。出張中のケガは業務災害でしょうか? また、ホテルに宿泊する予定ですが、その宿泊中のケガはどうなるのでしょうか?
業務災害は「業務遂行性」と「業務起因性」の有無で判断されます。
業務遂行性とは「労働者が労働契約に基づき、使用者の支配下にあること」です。
業務起因性とは「業務と負傷との間に相当の因果関係があること」です。
ご質問の出張中のケガの取扱いについて、まずは業務遂行性について考えます。
出張中、労働者はその業務の遂行・方法等について事業主の指揮・命令に基づいているものであることから出張過程の全般が事業主の支配下にあるものとして考えられます。
その意味において、業務遂行性が認められます。
業務起因性については、出張中、食事、宿泊、入浴といった行為が当然考えられます。こうしたいわば私的行為中に生じた災害についても、出張に通常伴う範囲内のものであり、労働者が合理的な順路、方法による出張の場合には、業務との関係性があり、業務起因性も認められることになります。
よって、この2点から宿泊中のケガに対しても業務災害となります。
しかし、出張目的外の私的な理由のために本来の出張の経路をはずれるような場合(出張先以外で催し物を見物中に負傷した場合)、あるいは私的・恣意的行為・業務逸脱行為(泥酔の上、騒いで転倒した場合)に生じた災害については、労働者が自ら招いた災害といえますから、業務災害とは認められません。