労災
当社の社員が仕事で車を運転中に事故を起こし、入院してしまいました。事故の原因は社員の信号無視が原因でしたが労災保険からの給付は受けられるのでしょうか?
労働者災害保険法では労働者の故意または重大な過失により、労働者が業務上負傷し、もしくは疾病にかかった場合には、保険給付の全部または一部を行わないと規定されています。
この支給制限は労働者災害保険法12条2-第2項に規定されており、以下の項目に該当する場合に適用されます。
1. 労働者が故意に負傷、疾病、障害もしくは死亡またはその直接の原因となった事故を生じさせたとき
2. 労働者が故意の犯罪行為もしくは重大な過失により、または正当な理由なく療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害もしくは死亡またはそれらの原因となった事故を生じさせ、または負傷、疾病もしくは障害の程度を増進させ、もしくはその回復を妨げたとき
重大な過失というのは、法令(労働安全衛生法、道路交通法等)上の危害防止に関する規定で罰則の付されているものに違反すると認められる場合とされています。
この場合には休業補償給付、傷病補償給付および障害補償給付について所定給付額の30%が減額されることになります。ただし障害補償年金については療養を開始した日の翌日から3年以内の期間に限られます。
なお、療養補償給付等、治療費に関する支給には制限はされません。
過去の交通事故に関する事例では飲酒運転による事故、居眠り運転による事故などは重大な過失と判断されたケースがあります。一方、同じ道路交通法違反であっても免許不携帯等の比較的軽微な違反については、合理性を欠くものとして重大な過失として取り扱う必要はないとされています。
ご質問からだけでは具体的な詳細までは確認できませんので一般論で回答させていただきますが、今回のケースでは、事故の原因となった社員の信号無視が重大な過失に該当するかどうかが問題になります。信号無視は道路交通法に違反するものとなり、罰則も付されていますので重大な過失と認められ、給付制限を受ける可能性が高いと考えられます。