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労災

当社の従業員で商談の為、1週間程度、中国に出張する者がおりますが、その出張中に怪我をした場合には当社の労災保険を受けられるのでしょうか? 海外派遣用の特別加入制度があるそうですが、それに入らないといけないのでしょうか?

ご質問のような海外出張であれば、特別加入する必要はなく、御社の労災保険の適用を受けることになります。

労災保険は、本来、国内にある事業場に適用され、そこでの労働者が給付の対象となる制度です。そのため、海外の事業場で就労する人は労災保険の対象とはなりません。国内の事業場で就労していた人が転勤命令等で海外の事業場に派遣された場合についても海外の事業場で就労する限りは同様です。
このような人については、通常、その国の災害補償制度の対象となりますが、外国の制度の適用範囲や給付内容が必ずしも十分でない場合もあることから、海外に派遣された人についても労災保険の給付を受けられるようにしたのが「海外派遣者の特別加入制度」です。
その海外派遣者として特別加入ができる範囲は、以下の[図1]の通りです

[図1]
海外派遣者として特別加入をすることができる範囲
① 日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から派遣されて、海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業等海外で行われる事業に従事する労働者
② 日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から派遣されて、海外にある[別表1]に定める数以下の労働者を常時使用する事業に従事する事業主及びその他労働者以外の方
③ 独立行政法人国際協力機構等開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する方


〔別表1〕中小事業と認められる規模
業種 労働者数
金融業
保険業
不動産業
小売業
50人以下
卸売業
サービス業
100人以下
上記以外の業種 300人以下


そこでご質問のケースのように国内の事業場で就労していた人が海外で業務に従事するケースを大きく区分すると以下の[図2]のように「海外出張」と「海外派遣」の場合があります。

[図2]
海外出張者 単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず、国内の事業場に所属し、その国内の事業場の使用者の指揮に従って勤務する人
海外派遣者 海外の事業場に所属して、その海外の事業場の使用者の指揮に従って勤務する人


その「海外出張者」と「海外派遣者」のどちらに当たるかは、勤務の実態によって総合的に判断されるものであり、会社内の呼称の用い方や海外滞在期間の長短は判断基準になりません。「海外派遣者」に該当する場合には「海外派遣者の特別加入」にしていませんと、海外派遣中の労働者に業務災害が発生した場合には労災保険による給付が受けられなくなりますので注意して下さい。

以上のことから考えますと、今回のご質問のケースでは、商談ということで労働の提供の場が海外にあるにすぎず、現地法人に所属することもなく、またその現地の事業場の使用者の指揮に従って勤務するわけでもありませんので「海外出張」に該当します。
よってその海外出張者に関しては特別加入を行う必要はなく、国内出張の場合と同様、御社の労災保険により給付を受けられます。
但し、移動の際に合理的な経路から逸脱したり、出張目的と全く関係のない行為を行って出張を中断したりした間に発生した災害は業務災害とはならないので注意して下さい。

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