労災
先日、業務上の事故で怪我をした従業員がおり、すぐに病院で受診させました。しかし、従業員は窓口で健康保険証を提示し、治療費の3割を自己負担してしまいました。本来は労災申請により自己負担無く受診できたところを、誤って健康保険扱いとした場合は、どのような手続をすれば労災に切り替えることができるのでしょうか。
状況に応じて対応方法は異なりますが、A:「療養の給付請求書(様式第5号)」もしくはB:「療養の費用請求書(様式第7号)」の何れかを作成し、申請を行うことになります。
健康保険での治療を受けた場合、病院は費用の3割を本人から徴収し、残り7割を保険者(協会けんぽや健保組合)へ請求します。受診日から期間があまり経過しておらず、病院がこの請求を保険者にまだしていない、もしくは請求しても支給決定がされていない時期であれば、通常は病院窓口で労災への切り替えが可能です。この場合は、事前に事情を説明した上で、Aの請求書を病院へ持って行き、3割分を病院から返金してもらいます。
これに対し、受診日より相当の期間(概ね3ヶ月程度)が経過してしまうと、病院と保険者間での、診療報酬にかかる事務手続きが完了してしまいます。このような状況になってからの労災申請は、少し面倒です。まずは健康保険の保険者へ連絡し、先方の指定する口座へ7割分の金額を返納します。健康保険側の費用を清算し、一旦は全額自己負担をした形に整理するのです。その上でBの請求書を労基署へ提出し、認定が下りればお金が全額戻ってきます。
このように、労災の請求を行うタイミングにより、手続が異なってきます。まずは、従業員が診断を受けた病院に連絡をし、その治療にかかる事務手続きがどの程度進んでいるかを確認することから始めると良いかと思います。