安全衛生
当社は従業員が60名余りで、自動車部品製造業を営んでいます。先日、労働基準監督署による臨検調査が行われましたが、その際に労働安全衛生法に係る内容として、衛生管理者、安全管理者及び産業医の選任報告がなされていない旨の指摘を受けました。今まで特に重大な労災事故もなく、健康診断も毎年受診させていたので意識していませんでしたが、必ず選任しなければならないのでしょうか?また、これに伴って何か罰則などがあるのでしょうか?
貴社の業種及び従業員の人数であれば、衛生管理者1名、安全管理者1名、産業医1名を選任する必要があります。そして選任事由が生じてから2週間以内に、所轄労働基準監督署に選任報告を提出しなければなりません。
衛生管理者は、業種を問わず常時50名以上の従業員を使用する場合は、その事業場に所属している方から1名以上選任します。従業員数によって、選任人数も増えていきます。
安全管理者は、建設業や製造業、卸売業、小売業等で、常時50名以上の従業員を使用する場合は、その事業場に所属している方から1名以上選任します。
産業医は、業種を問わず常時50名以上の従業員を使用する場合は、1名以上選任します。お話のように健康診断を毎年きちんと受診させていても、産業医の選任は必要です。貴社の規模であれば専属である必要はなく、外部の医師の方で構いません。
それぞれの業務内容等は今回は割愛致しますが、いずれも不適切な作業環境に起因する事故や疾病を予防する目的で選任義務が課されています。
さて、気になる罰則ですが、「それぞれの未選任の案件ごとに」50万円以下の罰金が課せられます。つまり、50万円以下の罰金×3つの未選任案件となり、合わせて最大150万円以下の罰金という形です。初めて指摘を受けられたとのことですので、直ちに罰金が課せられる可能性は低いかと思われますが、速やかな対応は必要です。
普段意識される機会は少ないと思いますが、従業員数が50名以上で、選任の義務が生じます。50名に近づきつつある事業所様は、ご留意いただければと思います。労災事故が頻発したり、大規模な業務災害が起こった場合は、必ず選任状況が問われます。最近はコンプライアンス面から、きちんと選任されているか取引先等からも尋ねられるケースもあるようです。既に50名以上の事業所様も、この機会に今一度選任状況をご確認されてみてはいかがでしょうか?