労働保険
来年、はじめて県外に支社を設置することになりました。ただ、支社には総務担当者が常駐せず、事務処理については本社にて集中管理します。こういった場合、労働保険を本社にて一括することができると聞いたのですが、要件や手続きについて詳細に教えていただけないでしょうか?
労働保険の保険関係は、原則、個々の適用事業場で成立させます。
しかし、一定の要件を満たす継続事業の場合、複数の保険関係を1つの事業でまとめて処理することができます。これを「継続事業の一括」といいます。
では、その要件について、下記のすべてを満たしていなければなりません。
(1) 指定事業とその指定事業に係る被一括事業の事業主が同一であること(法人の場合は、同一法人の支店、営業所等に限る)
(2) それぞれの事業が継続事業で保険関係が成立していること
(3) それぞれの事業が、「労災保険率表」による「事業の種類」が同じであること
(4) それぞれの事業が、保険関係区分(労災保険と雇用保険の両保険が一元適用なのか、別々の適用なのかの区分のこと)が同じであること
要件に該当し、一括申請が認可されると、指定事業に保険関係がまとめられ、被一括事業についての保険関係は消滅します。
次に、申請手続きについてお伝えします。
まず、新たに設置する支社の所在地を管轄する労働基準監督署に対して、「労働保険関係成立届」を提出しますが、その成立届に継続事業の一括申請を行うためのものである旨、記載する必要があります。
そして、戻された成立届に付与された労働保険番号をもとに、「労働保険継続事業一括認可・追加・取消申請書」を本社の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。
これで完了です。
なお、継続事業の一括はあくまでも、労働保険料等の申告・納付について本社(指定事業)にまとめるものです。被一括事業の所属する労働者が労災保険の請求等をする場合は、それぞれの事業の所在地を管轄する労働基準監督署に行いますので注意が必要です。