安全衛生
毎年の定期健康診断を受けない代わりにその費用でがん健診だけを受けさせて欲しいと、従業員から要望がありました。家族ががん家系だから心配だというのです。定期健康診断を受けず、がん検診のみ受診する場合も全額会社負担にしなくてはならないのでしょうか。そしてそもそも定期健康診断を受けないというのはどうなのでしょうか。
まず定期健康診断の受診に関してですが、まず労働安全衛生法(第66条1項)において会社が労働者に対して必ず受けさせなければければならない義務として定められています。定期健康診断が行われているのはこちらの法律に基づいています。
また、あまり知られていませんが、同法には労働者が健康診断を受ける義務(第66条5項)もあわせて定めされています。ですので、定期健康診断に関してはたとえご本人が希望していないとしても必ず受ける義務があるということになります。
一方でがん健診などのオプションは定期健康診断で受けなければならない項目に含まれていないものなので会社が受けさせる義務はありません。従って費用に関しては原則自己負担となります。
ただ近年の流れとして、「健康経営」がひとつのトレンドとなり、従業員の健康増進こそが企業経営の根本だという考え方も増えてきています。本件について、まずは定期健康診断を必ず受診してもった上で、がん検診のようなオプション健診についても全従業員を対象に費用の一部を負担する等、社内ルールとして整備していくことを等検討されても良いかもしれません。